トップアルバムマップタグサイトマップ

2009年04月27日

時代小説『戦場の桜』その12

その少し前、岩之丞陣では、相変わらず表情のない有楽斎が、

「仁三郎軍と伊蔵軍は、弥一殿が防いでいるでしょう。国松殿としては、稚拙な計略よのう。
こちらは今のうちに国松陣を攻め、三島軍の軍旗を落としてしまいましょう。
さぁ総攻撃です。」

岩之丞はその冷淡さにゾッとしながらも、

「よーし、牛丸を先頭に突っ込み、国松が持つ軍旗を我が軍の手に!
すすめ!」

と号令をかけると、猪突猛進の牛丸を先頭に、血気にはやった若者たちは、我先にと国松陣に向かって殺到した。

そこで彼らが見たのは、軍の先頭で仁王立ちの国松と、本陣にしては少なすぎる軍勢だった。

「敵は寡勢なるぞ、一気に叩き潰してしまえー。」

「モーやっつけるだモー」
国松は、正宗が見つけてきたという、愛用の木の棒を正眼に構え、

「いつでも来い、返り討ちだ。貴様らの戦いに正義はない!」

と言い放つと、押し寄せる敵をバッタバッタと右に左に切り分けていった。

何分そんな戦いが続いたのだろう。
さすがの国松も疲れが見え、太刀さばきにもキレがなくなってきた。

これをいい機会ととらえた牛丸が猪突猛進し、体当たりすると、国松はどうと倒れてしまった。

すると、すかさず岩之丞が、横倒しになった国松に対し上から斬りかかる。
何合かは防いだ国松だったが、岩之丞の渾身の一撃に、愛用の木の棒が飛ばされてしまった。

国松に木の棒を突きつけながら、岩之丞は

「国松、もうおまえらの負けだ、軍旗をよこせ」

「ゼーゼーゼー。
残念だな、軍旗は眞之介が持ち、今頃弥一軍を破って、仁三郎と伊蔵と合流しているころだ。
彼らが戻れば、貴様たちなど…、ゴフッ」

と国松は血を咳き込みながら言った。

「なーにー!ヘタレの眞之介がか?」

「ゼーゼー。眞之介がヘタレじゃないよ。彼が、大将さ。私はただの囮だよ…。ゴフッ」

「何だとー。ホントか?だから、人数が少なかったのか!
まぁやつらが来るのはまだまだだ。こちらには有楽斎先生もいる。
まずは国松を血祭りにあげろ!
ボッコボコにしてしまえ!」

彼らが国松に対し、木の棒を振り上げたその瞬間。
風が吹いた。


つづく


いいところでヒキかい。
正宗って、お酒の名前って思われないか?
正宗の打った刀でなくて、見つけてきた木の棒ってのは価値があるんか?


同じカテゴリー(時代小説「戦場の桜」)の記事

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
時代小説『戦場の桜』その12
    コメント(0)