時代小説『戦場の桜』その20
ヘタレの眞之介は逃げ足は速かったのである。
ただ、華姫の馬は駿馬であることに加え、姫が並の武士より馬術が上手いことから、軽い姫を乗せた馬は、ちょこまか逃げる眞之介を着実に追い込んでいくように見えた。
眞之介は逃げる。逃げるったら逃げる。華姫が嫌いではない。兄弟同然に育っており、いつもそばにいた華姫いや華に恋心を抱くな、というのは無理であろう。
子供のころは一緒にいることが楽しかった。
二人で遠駆けに行ったり、論語の勉強をしたり、剣術の稽古でコテンパンに打ち負かされたりしても、とても楽しかった。
いつからだろう、華は三島の殿の姫だと意識しはじめたのは…。
自分とは身分が違うんだ。華は他国の領主にお嫁にいくのであって、いつまでもこんなことは続かない、と
それからは、自分自身の気持ちを押し殺して、姫と臣下の立場を守ってきた。
華姫は、眞之介の気持ちを知ってか知らずか、一目散に追いかけてくる。
華なんて呼ばされたら、せっかく抑えた自分の気持ちがまた揺らいでしまう。そう心の中で思った眞之介は、逃げるしかない!と再び誓った。
逃げるためにはと、勝手知ったる山道へと馬のくつわを向けた眞之介であった。
つづく
眞之介そんなこと考えてたのかー?謎
そんなこと考えているようには思えないヘタレなんだが(--;)
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