時代小説『戦場の桜』その19
馬上の姿が男らしく、凛々しい少女が、再度言った。
「眞之介、わたしも敵を倒したい。」
「華姫、何をおたわむれを…。」
その美少女は三島の殿様の華姫であった。
華姫は、眞之介の母が乳母であり、子供のころから、兄弟同然として育ってきたのであるが、ヘタレの眞之介と違い、武道に関しては、国松並みであり、また、漢詩をそらんじるなど、勉強でも全く頭の上がらない存在であった。。
ただこの北条家の弱点としては、華姫の弟で将来家を継ぐべき茶々丸が病弱で、他の男子がいなかったことである。
そのためか、更に華姫は武道に力を入れており、「おてんば姫」と陰で言われているのを気にせず、よく遠乗りに駆けてきているのであった。
「眞之介、敵はどこじゃ?」
眞之介は(オレの敵はお前なのになぁ…。)とか思いながら、
「華姫さま、もう、戦いは終わりましたでござる。敵は、国松の作戦でやっつけたでござる。」
「華姫さまなどと呼ばなくてもいいと言っているだろう。昔のように華と呼べ。」
「いやー、それは子供の頃の話であって、今は姫さまであってー。」
と、眞之介がぐずぐず言っている間に、華姫は、
「敵がいないのならしょうがない。ならば眞之介相手をせい。華が勝ったら、華姫さまでなく、華と呼ぶことでいいな。
では、参るぞ!」
「えーそんなー、やめてー。」
ヘタレの眞之介は、一目散に逃げ出した。
つづく
ヘタレの眞之介の運命やいかに。
っていうか、姫に負けるなよー。
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